5/10に女流棋士の北尾さんと、報道関係の知人の方と3人で、岩手県の山田町と大槌町に行ってきました。どちらも海に面しており、被害が大きかったところです。知人の方は、取材やボランティアで被災地をたびたび訪れているそうですが、避難所などにどうぶつしょうぎを持っていきこどもたちと遊んでもらっていたそうで、一緒に周りませんか?と声をかけてくださいました。
まだまだ行方のわからない方も多い、大変な土地に行くことについて、いろいろなことを考えましたが、直前、おおきな森のシール貼りをしていくうちに、いつもどうぶつしょうぎを伝えに行く気持ちと変わらないな、と心が落ち着いていきました。被災地であってもなくても、どうぶつしょうぎや将棋を伝えたいという気持ちは変わりはなく、どうぶつしょうぎが出来てからずっと、知らない土地で将棋を知らない人達に、楽しさを伝えていくことを続けてきたので、今回も特別なことではないのです。
ただ、自分たちが心から良いと思えるものを持っていること、そしてそれを届けることが出来るということは、幸福なことだなあとしみじみ思いました。
9日深夜上野から釜石行きの夜行バスに乗りました。東北道の復旧はとても早かったのですが、こうして走れることがまずはとても嬉しかったです。そして窓から見えるのは、変りない日本の美しい風景ばかりでした。
釜石で降りて、少し走るとガラっと風景が変わります。家屋が倒壊して、瓦礫の山があちこちに見られます。ただ、驚いたのはそれではなく、街の美しさでした。海岸や山、木々、地形そのものが、本当にとても美しかったのです。とてもほっとしましたし、癒されました。瓦礫だけでなく、今も活き活きと多くの植物、生物が生きていて、日の光は美しくそこを照らしていました。多くのものを奪った自然は、一方でこんなにも恵みを与えてくれているのだなあと思いました。
こんなに良い場所なのに、町の人はどれだけ悲しい思いをしたことでしょう。いつの日かまた漁業や農業がまたできるように、観光に訪れることができるようにと願わずにはいられません。この豊かな自然がそれを叶えてくれると信じたいです。
まずは山田町の豊間根保育園を訪問しました。
5歳児クラスと4歳児クラス、2クラスでどうぶつしょうぎの授業を行いました。
みんなめちゃくちゃ元気でした!挨拶とお返事がみんなしっかりできてて、先生のお話もとても集中して聞いています。
「ライオンとったよ!」「わたしは3つもとったよ!」「ひよこもとったよ!」元気に遊んでくれました。
どこにあるけるかな?のお勉強。
皆と一緒に給食をいただいて、最後にどうぶつしょうぎをプレゼントしました。
園のこどもたちは「ねえねえ聞いて聞いて!」とたくさんおはなししてくれました。このように園生活が楽しく送れていることにすごくほっとしました。先生方、そして園に支援してくださった方々のおかげだと思います。
続いて避難所の山田高校体育館へ。震災からまる2ヶ月たちましたが、いまだに多くの方が生活しています。高校へ元気に通学する男子女子たちや、無事に残った家に囲まれているので、そのギャップが切ないです。早くそれぞれの生活の場に帰れることを願っています。
学校帰りのこどもたちにどうぶつしょうぎを紹介しました。最初「こんなの簡単だ!」とか先生を挑発?していた子たち。友達が考えてるところを邪魔しちゃったりしていた子たち。お菓子を食べながら気もそぞろだった子たち。「じゃあすご〜く強い先生がいるから、行ってみようか?」とまどか先生のところに連れていったら、段々空気が変わって、すごく真剣に!
喧嘩してるように見えた3人が、教えあったり、励まし合ったり、相手の言うことを静かに聞いたり。最後は力を合わせてライオンを詰ましていました。おとなしかった一人の子の目がどんどん輝いてくるのを見て、うれしくなりました。
大人の方は「将棋は俺わからないんだ!」「むりむり!」みたいな感じで、なかなか対局してくださらなかったのですが、こっそり将棋盤を置いておいたら、帰る頃にはすっかり対局場ができていました。少し見た限りでは、やはり大人向けの娯楽のものはかなり少なそうだったので、盤駒が活躍してくれるといいなと思います。
最後に大槌町の堤乳幼児保育園を訪問して、どうぶつしょうぎやどうぶつパズルを届けてきました。
どの場所でもあたたかく迎えてくださって、優しい方ばかりでした。お世話になった皆さまありがとうございました。またぜひ訪れたいと思います。
追記:同じく被災された陸前高田市消防団高田分団さまから「どうぶつしょうぎ」が欲しい!とご連絡いただき、100セットお送りいたしました。こちらのHPによると、いろいろな施設に届けてくださっているようです。届けに行くことも大変な労力がかかる中、ありがとうございました。どうぞどうぶつしょうぎで楽しんでください。
→「どうぶつしょうぎ」を届けています。
→またまた、どうぶつしょうぎ
岩手県大槌町と山田町へ
木曜日, 12 5月 2011
5月からの「いっぷくde将棋入門」
火曜日, 26 4月 2011
・将棋入門講座、指導対局
・かふぇたいむ〜いっぷくしながら将棋のおはなし
・将棋クイズ de いっぷく などなど
☆その人それぞれの棋力、やりたいことに合わせて指導します。お気軽にお問い合わせください。
日時:毎月第二第四土曜日 10:00〜11:30(9:30ごろ開場) 5/14より開講
場所:深川いっぷく(135-0021 東京都江東区白河3-2-15)
講師:女流棋士 藤田麻衣子
受講料:1回2000円(お茶・お菓子つき)
※当日受付も行いますが、スペースに限りがございますので、事前に申し込みいただけるとありがたいです。
☆教室ブログはこちら http://d.hatena.ne.jp/fukagawa_shogi/
申し込み・お問い合わせ:info@piecodesign.jp(@を半角に変換してください)
4/23(土)のプレ講座無事に終わりました!あいにくの大雨…でしたが、静かなカフェスペースでゆったりくつろぐにはちょうど良かったかも?来てくださった皆様ありがとうございました。
またささやかながらですが、東日本大震災チャリティー販売コーナーも設けました。ご協力いただきありがとうございました。この日の受講料と販売の売上を合わせて寄付させていただきます。
さてさて、はじめての試みは当日まで不安でいっぱいでしたが、自分のやりたかった形で実際に行えて、とっても楽しかったです!
来てくださった方は”お子さんが将棋が好きで、見ているうちに『そんなに面白いの?』と興味を持った”という方や、”「ネット中継」を見て、こんなに深いものなのか、と将棋にハマってしまった”という方など。まさに来て欲しかった方々が集まってくれて嬉しいです。
まずは最近私がオススメの「ひらけ駒」(南Q太)さんの漫画が、将棋愛に溢れてて共感できるね、と自然に話が広がり…。
続いて将棋との出会いや、普段のお付き合いの仕方について、自分の経験も話つつ、みなさんのお話や、悩み事などをお聞きしながらちょっとしたカウンセリング。
指すときに「怖い」とか、必要以上に「いい手を指さなくては」と硬くなってしまう、という方が多いようですね。
そしていざ対局がはじまると、確かにさっきまで和やかに話していたみなさんが一変!!す〜〜〜〜ごく真剣な表情で、お茶もお菓子にも手をつけません〜〜。
どこが「ゆるゆる」じゃ〜〜〜。と思ったのですが、確かに自分もいっつもいっつも「がちんこ」に硬くなりながら将棋を指していることを思い出しました。みなさん、悩みは同じですね(笑)。
そして、駒の動かし方を知っている、というだけの方から、プロ棋士まで、皆さんが等しくこのように真剣になれる、将棋の魅力を再確認しました。将棋って、そういう普段味わえない緊張感も魅力のひとつなのかもしれません。
対局では真剣に、その他のお時間はできるだけ、ゆるゆると、肩をほぐしていただけるような講座を目指したいと思います。
最後は将棋にまつわる雑学クイズコーナー。将棋の歴史、芸能問題、マナー問題、雑学豆知識、など、将棋に関するちょっとしたお話をご紹介して、皆さんの将棋とのかかわりをより深く、親しみをもってもらえたらと思っています。
ギャラリーの中で指導将棋。展示は毎回変わるので、雰囲気も毎回違った感じになると思います。
木の盤駒で、ホンモノの質感を味わってもらいたいなと思っています。
5/14(土)から、いよいよ毎月第二第四土曜に開講します。プレ講座に来られなかった方も大歓迎です。休日のはじめ、ちょっと頭の体操しながら、ゆったり趣味に浸ってみませんか?
リコー杯女流王座戦
水曜日, 20 4月 2011
3月の上旬、びっくりするニュースが飛び込んできました。女流棋戦に新しい大型棋戦誕生。そしてそれは初めての完全オープン型、エントリー制の棋戦でした。女流棋士だけでなく、アマチュア、現役奨励会員、引退棋士全てに門戸が開かれていました。
http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/
発表を見た瞬間、パソコンの前で私は固まってしまいました。トーナメントを引退するとき、いつかこのような棋戦が出来ると夢見て、その日のために将棋を強くなろうという気持ちは持ち続けていようと思っていました(矛盾するようですが、将棋への情熱は一生のものとして自分の中でとっておきたかったのです)。しかし、早過ぎる!こんな早くにその日が来るとは思ってませんでした。たった1年間じゃ全然強くなってないし、何にも準備できてないよ、と。
成長したという実感もないまま出ることに、ためらいがありましたが、でもやはり門戸を開いて下さった方々に感謝の気持ちを伝えたいと思い、大阪予選のエントリーメールを送信しました。自分にとって未知の世界、まったく予期してなかった道にえいや、と足を踏み込んだ感じがしました。
大震災が起こる、数時間前のことでした。
対局の日が近くなるにつれ、早く指したい、うれしい、というワクワクした気持ちで高まってきました。現役のときはとにかく胃が痛く、ソワソワと落ち着かなかったのに、今回は全然違いました。こんな気持ちで将棋に向かうことが出来る日が来るなんて、それだけで自分にとってはすごいことで、改めて関係者の方に感謝しました。本当に、はじめて味わう楽しい気持ちでした。
西日本大会当日も楽しんで、夢中で指すことが出来ました。一局目は山田美晴さんと角換わり。かなり緊張してワタワタしたけれどなんとか攻めがつながりました。二局目は育成会のときから知っている高浜愛子さん、四間穴熊にへっぽこ急戦で、終盤でミスして負け。これは残念だった…。三局目は駒doc.編集長の諏訪さん(なぜこんなところで当たる・涙)実力を知っているので、予選落ちも覚悟しました。オールド中飛車にへっぽこ急戦で、敗勢に…。最終盤で逆転しました。内容は全体的に悪かったけど…前向きになれたので自分の中では良しとします!「前の悪手を引き摺らない」「諦めない」「前の将棋を引き摺らない」という目標は守れたかも。
午後のトーナメントは1回戦で強敵・中七海ちゃんと。関西は層が厚く、スター候補の女子アマたちに囲まれて対等に戦えるのも幸せでした。私は里見さんはもちろん、関西の有望な若手とほとんど指す機会がないまま引退し、それが一つの悔いになっています。今回参加した子たちも、みんなと指したかったなあ。ただ七海ちゃんと指せたのは感激でした。オーラが普通じゃありません。ものすごいポテンシャルを感じました。
終わって二日間、家でぐったり寝こんだのも我ながらびっくり。楽しんで指せた割には、負けた後の虚脱感は現役の頃と同じだったようです。自分が大好きな将棋なのに、知らないことが多すぎる、将棋の世界にとって自分が小さすぎる存在であることが、悲しかったです。
今回とても素晴らしい機会をいただいて、本当に感謝しています。ツイッターなどで温かい応援の声を届けてくれた方々、ありがとうございました。これからどんな機会が訪れるかわかりませんが、自分の中でこのような挑戦は続けていきたいなと思いましたし、これからはまた違った前向きな気持ちで将棋に向かっていきたいと思います。
リコー杯はこれから東日本予選、本予選、本戦と続いていきます。参加する人みんなにとって充実した戦いができますように。
(写真提供=若葉)
いっぷくde将棋入門
金曜日, 15 4月 2011
深川こども教室とは別に、新しいかたちの入門〜初級者用の教室を開くことになりました。
江東将棋センターが使えなくなり、困っていたところ、以前「どうぶつしょうぎでいっぷく」でお世話になった「深川いっぷく」さんから、ぜひうちでやりませんか?と言っていただいて、ちょうど深川いっぷくが新しくリニューアルし、いろんなアーティストさんとの共有スペースを目指している、ということを聞いて「面白い!」と思ってたので、ぜひぜひ、とお願いすることになりました。
普段はギャラリーとcafeスペースである場所、可愛い雑貨に囲まれた、ほっとする雰囲気の中、将棋教室をやる!という私にとっては初めての試みです(たぶん、他でもあんまりないかも?)。はっきりいって、将棋女子向きです!!
やはり、将棋が強い方には、他でもたくさん教室があるので、わたしは今まで教室に行ったことないのよ〜という方に出来るだけ来てもらえるようなものを目指しています。
「将棋を全く知らないけど、ちょっと趣味としてやってみたい」「将棋を見ることが好き。もっと将棋のこと知りたい」「将棋やってるの、と自慢してみたい」「頭をちょっと使ってみたい」「人とコミュニケーションするような趣味が欲しい」「なんだかわからないけど、くつろぎたい」という方に、オススメです。
お茶とお菓子を食べながら、将棋にまつわるお話もしたいなと思っています。生徒さんの将棋に対するお悩み相談、でもいいし、わたしがオススメする将棋に関するもの紹介、とか。とにかくこれまでにないような、ゆる〜〜〜い教室を目指しています。
5月からスタートするのですが、まずプレ講座として、4/23(土)に一日だけの体験教室を開きます。
こちらは収益を全て東日本大震災の義捐金とし、将棋グッズのチャリティー販売コーナーも設けます。
こちらはお気軽に誰でもご参加ください。もし雰囲気を気に入ってくださったら、ぜひ5月からの本講座に入会ください。
深川こども将棋教室、やってます。
金曜日, 15 4月 2011
めちゃめちゃ久しぶりのご連絡です。すみません、冬眠してました。
春が来ちゃったので、そろそろ動かないと…というのはうそで、あれからデザインした商品がいくつか出たり、ドイツのエッセンにどうぶつしょうぎと一緒に行ったり、地方の児童館やこどもの集まる施設に行ったり、いろいろやってました。すみません、おいおいご報告します。
さて、今年の1月から地元の江東区で将棋教室をはじめました。
もともと清澄白河に新しく出来た江東将棋センターで開いたのですが、残念なことに3月で閉鎖となり、4月から場所を新しくして、続けています。センターの席主さんにも継続してお手伝いいただいて、やっています。ちなみに江東将棋センターは女性の席主さんの人柄もあって、とても楽しい場所でした。お客さまもあったかい方が多く、こども教室も毎回体験の問い合わせがあるなど、地元の将棋熱を実感しました。
教室をやりはじめた理由の一つが、大好きな深川で将棋のネットワークを広げたい、ということ。次に「どうぶつしょうぎ」の一日体験などのイベントはとても多くこの1〜2年やってきたのですが、やはりどうしてもその場だけになってしまうので、もう少し継続的にこどもたちの熱を受け入れるところが欲しい、と思っていました。もう一つ、「どうぶつしょうぎ」で興味を持ってくれた方が、どのようにして将棋に入ってくるのか、それを実体験として積み重ねて、自分自身の教え方をスキルアップしたい、という気持ちもありました。
というわけですでに将棋にハマっちゃってる子、大会などにバンバン出ちゃってる子達、そういう子がのびのび出来る場所はこれまでも沢山あったと思うので、わたしは「ちょっと将棋に興味があったんだけど、どうしたら入れるかしら?」という方達中心にやっていきたいなーと思っています。もう有段者になったらどんどん外の世界に飛び立っていいからね!
幸い開講以来、とてもいい子達に恵まれて、年中さんから(ときには3歳の子も!)小学生まで、まだまだ覚えたてのレベルだけれども、気持ちはとても真面目なこどもたちと、楽しくやっています。
駒落ち1局、平手1局、詰将棋トレーニング、おともだちとの実戦、というのは平均的なメニューです。棋力は各自に応じて、と書いていますが、棋力だけではなく、「その子に応じて」教えることを目標にしています。
たとえば同じ7級といっても、序盤をしっかり丁寧に指している子。すごーく荒っぽいんだけど、なぜか終盤になるとプロ顔負けの子。
うーんとうーんと一歩一歩考えて、時間内1局でも大満足な子。ぱっと直感で指しちゃて、次から次へと勝負したい子。
いっぱい駒を取られても、へっちゃら、負けてもへこたれずに楽しく遊べる子。
強いけれども、負けるのが嫌で、人と自分を比べることに忙しい子。
将棋よりもまずあいさつおぼえなさーいという子。
色んな子がいて、それぞれに先生は教えられます。もう棋力はあんまり関係ないな、というのを実感しています。どんなに初心者でも何かをつかもうとしている子は、着実に伸びています。強い子でも、ここで何か覚えるぞ!と思ってなければ進歩していきません。その子達なりに進歩してくれたらいいなあと思っています。
というわけで、目下の悩みは人手が足りないこと。
もっともっと人を増やしたく、増える可能性があるほど地元の将棋熱を感じているのですが、同じようなスタンスで、普及のお手伝いをしてくれる方がいたらなあといつも感じています。長く続けたい事業なので、少しずつ仲間を増やしていければと思っています。
会場の富岡北集会所。今は桜が窓から見えてとても気持ちがいいです。
「ぼくとわたしのしょうぎ」@するところ 写真レポート
水曜日, 25 8月 2010
8/22(日)ぼくとわたしのしょうぎ@するところ、無事終了しました!来てくださったみなさん、どうもありがとう。
本当に素敵な空間で、一日まったりと、しょうぎ児童館となりました。「するところ」にも将棋はうまく溶け込んだなあ、、、と、このなんとも言えない不思議な雰囲気は、言葉より写真のほうがいいですね。たくさんアップしましたので、ぜひごらんください。
(注)一人だけ将棋の強い人が混じってます。
午前の部のレポートは、カメラマン武藤奈緒美さんの写真で「するところ」HPに掲載されています。また定期発行されるフリーペーパー「するところ新聞」にも掲載されます。