リコー杯女流王座戦

3月の上旬、びっくりするニュースが飛び込んできました。女流棋戦に新しい大型棋戦誕生。そしてそれは初めての完全オープン型、エントリー制の棋戦でした。女流棋士だけでなく、アマチュア、現役奨励会員、引退棋士全てに門戸が開かれていました。

http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/

発表を見た瞬間、パソコンの前で私は固まってしまいました。トーナメントを引退するとき、いつかこのような棋戦が出来ると夢見て、その日のために将棋を強くなろうという気持ちは持ち続けていようと思っていました(矛盾するようですが、将棋への情熱は一生のものとして自分の中でとっておきたかったのです)。しかし、早過ぎる!こんな早くにその日が来るとは思ってませんでした。たった1年間じゃ全然強くなってないし、何にも準備できてないよ、と。

成長したという実感もないまま出ることに、ためらいがありましたが、でもやはり門戸を開いて下さった方々に感謝の気持ちを伝えたいと思い、大阪予選のエントリーメールを送信しました。自分にとって未知の世界、まったく予期してなかった道にえいや、と足を踏み込んだ感じがしました。

大震災が起こる、数時間前のことでした。

対局の日が近くなるにつれ、早く指したい、うれしい、というワクワクした気持ちで高まってきました。現役のときはとにかく胃が痛く、ソワソワと落ち着かなかったのに、今回は全然違いました。こんな気持ちで将棋に向かうことが出来る日が来るなんて、それだけで自分にとってはすごいことで、改めて関係者の方に感謝しました。本当に、はじめて味わう楽しい気持ちでした。


西日本大会当日も楽しんで、夢中で指すことが出来ました。一局目は山田美晴さんと角換わり。かなり緊張してワタワタしたけれどなんとか攻めがつながりました。二局目は育成会のときから知っている高浜愛子さん、四間穴熊にへっぽこ急戦で、終盤でミスして負け。これは残念だった…。三局目は駒doc.編集長の諏訪さん(なぜこんなところで当たる・涙)実力を知っているので、予選落ちも覚悟しました。オールド中飛車にへっぽこ急戦で、敗勢に…。最終盤で逆転しました。内容は全体的に悪かったけど…前向きになれたので自分の中では良しとします!「前の悪手を引き摺らない」「諦めない」「前の将棋を引き摺らない」という目標は守れたかも。


午後のトーナメントは1回戦で強敵・中七海ちゃんと。関西は層が厚く、スター候補の女子アマたちに囲まれて対等に戦えるのも幸せでした。私は里見さんはもちろん、関西の有望な若手とほとんど指す機会がないまま引退し、それが一つの悔いになっています。今回参加した子たちも、みんなと指したかったなあ。ただ七海ちゃんと指せたのは感激でした。オーラが普通じゃありません。ものすごいポテンシャルを感じました。

↑銀損して圧敗の図です。

終わって二日間、家でぐったり寝こんだのも我ながらびっくり。楽しんで指せた割には、負けた後の虚脱感は現役の頃と同じだったようです。自分が大好きな将棋なのに、知らないことが多すぎる、将棋の世界にとって自分が小さすぎる存在であることが、悲しかったです。

今回とても素晴らしい機会をいただいて、本当に感謝しています。ツイッターなどで温かい応援の声を届けてくれた方々、ありがとうございました。これからどんな機会が訪れるかわかりませんが、自分の中でこのような挑戦は続けていきたいなと思いましたし、これからはまた違った前向きな気持ちで将棋に向かっていきたいと思います。

リコー杯はこれから東日本予選、本予選、本戦と続いていきます。参加する人みんなにとって充実した戦いができますように。

(写真提供=若葉)

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