祖父・加藤孝俊のこと
水曜日, 9 11月 2011
私の祖父は陶芸家でした。瀬戸に生まれて瀬戸で活動していましたが、いわゆる瀬戸物ではなくて中国の古い時代の作陶に影響を受けていました。
わたしは仕事については詳しいことは知らないのですが、身近にそういうものが転がっているのを見て育ったので、ものすごく感性には影響を受けていると思います。子供の頃はなんとも思っていなかったモノたちですが、大人になるにつれて、なかなか世の中にない質感であることがわかってきて、とても好きになりました。今思えば、もっともらっておけばよかった(笑)。
モノの美しさとか、質感の良さなどは祖父の作品が基準になっているといってもいいと思っています。数少い手元にあるものを今も大切にしていますが、祖父はもう生きていないので、残っているものには限りがあります。しかもそれらはどこにあるのかもわかりません。
どこかで祖父の作品や、それらを愛してくれる人に出会うのが夢でした。こういう仕事を続けていたら、地方に行くこともありますし、どこかで出会えるんじゃないか、という期待も持っていました。
最近益子の陶器市に行ったので、ふとネットで調べてみたら、なんと!つい最近祖父の展覧会があったことを知りました。
企画展「加藤孝俊 陶芸展」http://www.seto-cul.jp/information/index.php?s=1307410948
まさか、まさかです。世の中のどこかに、祖父のことを忘れずに居てくださった方がいるなんて、亡くなってからもこんな風に取り上げてくださってるなんて。
もしまた機会があったら、今度は絶対行きたいです。また会えるかもしれないと思うと、生きる楽しみが増えました。どこかで祖父の作品があったら、ぜひ教えてくださるとうれしいです。祖父は40歳ぐらいまでは染付(磁器もの、洋風でマイセンっぽい感じだったとか?)の工場を経営していて、そこから突然陶芸家に転向したのですが、その時の磁器も探しています。母たちもどこに残っているか知らず…身近にいると案外そんなもんです。
うちで普段使いしているものたち。青い器が「月白」手前の黒いお猪口(上の写真も)が「油滴天目」です。