どうぶつしょうぎのほん

 



久しぶりの更新になってしまいました。5月6月ははじめてのガイドブック「どうぶつしょうぎのほん」を制作していて、それにかかりっきりでした。本の装丁ははじめての経験で、「ぜったいやりたいやりたい!」と無理にお願いしたにもかかわらず、いざはじまってみたら、何をどうやればいいのか、さっぱりわからなくて五里霧中のなかを歩いていた二ヶ月でした。

「どうぶつしょうぎ」はおかげさまでこれまで沢山の方に親しまれていますが、だから余計にその方達の期待に応えるには、と余計な力が入ってしまったのかもしれません。何も考えずにぽんぽん生み出すほうが、面白いものが出来たりするので…。

文章の北尾さんのほうも、どこにターゲットを置くか、何を伝えてどこに絞るか、そこを決めるのにとても苦労していたようでした。お互い一度作ったレイアウト、一度書いた文章を丸ごと変更しあってヘトヘトになりながら出来上がったのがこれです。こうなってみると、最後は背伸びせずに自分たちのスタイルをそのまま出して落ち着いた気がします。

「どうぶつしょうぎ」を目にしたことはあっても、北尾さんがどうぶつしょうぎを教えている現場を見たことがある人は、実はまだまだ少ないと思います。将棋を好きな方には、単なる簡易将棋のように思われているかもしれません。でもこれまでの将棋とは全く違う世界観があるというのは、一度でも北尾さんの現場を見た人ならわかってもらえるでしょう。

私はぜひ一度現場に来て、という思いが強いのですが、これからは、本という媒体で、もっと身近に伝えることができるようになりました。

駒を取る、じゃなくて「仲間を増やす」。駒にヒモをつける、じゃなくて「おててをつなぐ」。生きる、死ぬじゃなくて「つかまえる」。指し方だって、ダメな手はないんです。反則がない、自分で好きなようにやればいい、ライオンとライオンがぶつかり合ったまま、ずっと続いててもよい世界。勝った子も負けた子も、みんなニコニコ笑顔でいられる世界。

こどもにとって親しめる言葉で教えることによって、私自身も、長年将棋の世界の価値観にとらわれすぎていたことに気付かされました。どんな風にどうぶつしょうぎを伝えているか、これまで知らなかった人は、きっとこの本で新しい発見があると思います。ぜひぜひ一度手にとってみてください。

 



ちょっとだけチラ見せ。

巻末に、「ライオンマーチ」という歌の楽譜があります。

これは第一章の「ならべかた」のところで、75調で北尾さんが書いた文章があったのですが、ゲラを見ながら「これ歌にしたいんだよね」とぼそっとつぶやいていたので、私が家に帰って節をつけてみて(iPadのピアノアプリで作りました!)、北尾さんがちょっとフレーズをアレンジして残りの歌詞を書いて完成したものです。彼女はいつもいろんな思いつきをするので、そのたびに私は「あーまたはじまった」と思うのですが(笑)、そういう思いつきがたまに重要だったりします。今回二人とも悩みに悩んで進んでいた中で、こんな風にうん、面白い!とヒラメキで作業した部分があったのがとてもうれしいです。そういうのに限って良かったりするんだよなー(笑)。一曲を通して、どうぶつしょうぎのはじめから終わりまでが味わえるストーリーになっています。自身作なので、これだけでも買う価値ありますよ!

 



装丁としては拙いところ、失敗したところがいっぱいですが、本当にいい経験になりました。久しぶりに重く苦しい作業が出来て、技術的にも成長できたかなと思います。これからも機会があったら本の装丁はやりたいです。

だって本で育ったから、本のない世界なんて信じられないもの。

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